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SEKKOTSUIN
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2020.03.21 出産後の女性に多いトラブル「産後頻尿」
「トイレに行ったばかりなのに、もう尿意を感じる」
「トイレに行ってきても、まだ尿が残っている感じがする」
「赤ちゃんグッズの詰まった重いバッグを持ち上げた拍子に尿モレしてしまった」
出産後、こうした問題を誰にも相談できずに1人で悩んでいらっしゃる方が少なくありません。頻尿や尿漏れといった問題は、妊娠・出産後の女性に起きやすいトラブルの1つで恥ずかしい症状ではありません。「産後頻尿」についてご紹介しましょう。
出産によって女性が負った体のダメージが産後の頻尿・尿モレの原因とされます。
ダメージが深刻であれば症状の改善にも時間がかかります。
骨盤の1番底から子宮・膀胱・直腸などを支えている筋肉はまとめて「骨盤底筋」と呼ばれています。骨盤底筋には、尿が出ないように尿道などを引き締める働きがあります。
妊娠した女性の体には出産時にお母さんのお腹から赤ちゃんがスムーズに出てこられるように産道周辺の関節や靭帯をゆるみやすくする女性ホルモン「リラキシン」が分泌されます。この「リラキシン」が骨盤底筋にも作用し、臓器と骨盤底筋を繋ぐ靭帯もゆるめてしまうことから、尿道を引き締める力が弱まって産後の頻尿や尿モレが引き起こされるのです。「リラキシン」の影響は産後半年ほどでなくなると言われますが、妊娠中に安静にし過ぎてしまった場合などは骨盤底筋の筋力そのものが弱くなって、産後の頻尿・尿モレが長く続いたというケースもあります。
出産間近になると、赤ちゃんや羊水などを含んだ子宮の重さは5kgを超えています。リラキシンの影響でゆるみやすくなっている骨盤底筋はこの重みを支え続けることで筋肉の繊維がさらに伸びやすくなり、出産直前にはお腹に力を入れただけでも尿モレが起きてしまうケースもあります。
出産直後は妊娠中に受けた骨盤底筋のダメージが回復しておらず、また分娩によってさらに骨盤底筋が伸びてしまうために尿道を引き締める力がさらに弱くなって頻尿や尿モレが引き起こされるケースが多くあります。3500g以上の大きな赤ちゃんの出産の場合や出産が長時間にわたった難産の場合、経産婦さんなどは骨盤底筋や靭帯が負う損傷が大きくなると言われています。
①トイレの回数が1日に8回以上
②睡眠中にトイレに行きたくなって何度も目が覚める
の状態が「頻尿」の目安とされます。
水分を多くとってトイレに行く回数が増えることがあるでしょう。その場合はトイレに行くたびに通常と同じ排尿量がありますが、頻尿の状態では膀胱に正常時と同じ尿の量をためておくことができないため、尿意があっても排尿量が少なくなることが特徴的です。
産後の頻尿・尿モレは妊娠・出産の経過によって誰にでも起こることなので、それほど心配する必要はありません。体に負ったダメージと同じように筋肉や靭帯のダメージも次第に回復し、ほとんどの方は出産後3~4カ月で自然に治まってきます。
上記のような頻尿の状態にあってトイレに行ってもスッキリとしない、排尿するたびに痛みがあるとなどいう場合は、膀胱炎や子宮脱など「頻尿」に病気が隠れているケースもあるので、すぐに専門の医療機関を受診する必要があります。
産後頻尿を長引かせないために体を十分に休めながら「骨盤底筋」の回復を心がけることが大切です。
立ったり座ったりという動作、荷物を持って動き回ることが続くと、出産で傷ついた骨盤底筋にさらなる負担がかかり、頻尿・尿モレをはじめ後々の様々なトラブルや体調不良の原因となります。産後1か月は家族に助けてもらいながらできるだけ横になり、十分に体を休めましょう。
産後頻尿を悩んで水分をとらないようにする方もいますが、水分を我慢すると
①水分不足から母乳が出にくくなる
②水分不足で尿が作られず、尿によって排出される細菌が膀胱内に溜まり膀胱炎になる
③血液中の水分不足から脳梗塞などの可能性が高まる
④便秘が悪化し腸内に溜まった便が膀胱を圧迫・刺激して頻尿がより深刻になる
⑤体の水分不足から肌が荒れる
など、産後頻尿以上に恐ろしい症状が出る場合があります。赤ちゃんのためにも十分な水分をこまめにとることが重要です。
出産時に筋肉や靭帯が傷を負った影響から、高齢になって筋肉が衰えてきた時に尿モレがひどくなるケースがあります。産後1か月を過ぎたら無理のない範囲で骨盤底筋を鍛えることは将来の自分のためにも大切です。「通勤途中や食器を洗いながらなど、肛門を意識して5秒間力強くギュッとすぼめ、10秒間力を抜いてゆるめるという動きを10回繰り返す」「歩くときは早歩きをする」など、日々の暮らしの中でも骨盤底筋を鍛える動きを意識しましょう。